ユマニチュードというのは、認知症高齢者に対する介護メソッドの名称です。
前回のブログで紹介した『「ユマニチュード」という革命』が大変面白かったので、さっそく『ユマニチュード入門』という本も図書館で借りて読んでみました。
結論としては、イラストが豊富で分かりやすく、また『「ユマニチュード」という革命』では紹介されていなかった技法が掲載されていたりして、大変ためになる書籍でした。
タイトルにもあるとおり、ユマニチュードの入門書として大変おすすめです!
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前回紹介した『「ユマニチュード」という革命』の著者は、このメソッドの開発者であるイブさんとロゼットさんという2人のフランス人の方でしたが、今回の『ユマニチュード入門』はこの2人の他に本田美和子さんという日本人医師の方が著者に加わっています。
それもあってか、『ユマニチュード入門』には日本の病院や介護施設での具体的な介護を事例にしたイラストがたくさん掲載されていて、大変親しみやすく、また分かりやすい内容になっています。

『ユマニチュード入門』60〜61ページ「反応のない人へのアプローチテクニック」より。
介護に携わっている方は、介護職員にしろ家族にしろ時間に追われている忙しい方が多いと思うので、本を一冊じっくり読む時間を確保するのが難しい場合もあるかもしれません。
そんな方は、この『ユマニチュード入門』に掲載されているイラストをパラパラと眺めてみるだけでも、介護に対する意識が変わってくると思います!
ユマニチュードには150以上も技法があるそうで、当然本を一冊読んだだけではそのすべての技法を学ぶことは出来ません。
ですが、『ユマニチュード入門』には『「ユマニチュード」という革命』では紹介されていなかった「黒衣とマスター」という技法が掲載されていたので、ユマニチュードの一例として少しご紹介したいと思います。
ユマニチュードでは
・見る
・話す
・触れる
・立つ(立たせる)
という4つの行為をとても重要視するのですが、「黒衣とマスター」技法では下の表のように2人で役割を分担します。
マスター役 | 「見る」「話す」を担当。高齢者の視線をとらえながら、絶えず高齢者に話し続ける。 |
黒衣役 | 「触れる」を担当。最初に挨拶する以外は基本的に喋らない。 |
『ユマニチュード入門』では、認知症高齢者の入浴介助を例に挙げてこの「黒衣とマスター」技法のやり方が具体的に紹介されていました。
私自身は入浴介助をしたことがないので、あまりエラそうなことは言えないのですが(汗)、ユマニチュードがいかに「見る」「話す」「触れる」のそれぞれを重要視しているかがよく分かる、大変興味深い技法だと思いました。
私が思うに、ユマニチュードの凄いところは、なんとなく今まで「才能」とか「持って生まれた気質」とか「精神論」で語られていたものすごくボンヤリした概念を、具体的なテクニックに落とし込み「汎用性」「再現性」を持たせた点です。
以下、本書からその点について触れている箇所を2つほど引用させていただきます。
この技法は「人とは何か」「ケアをする人とは何か」を問う哲学と、それにもとづく150を超える実践技術から成り立っています。認知症の方や高齢者のみならず、ケアを必要とするすべての人に使える、たいへん汎用性の高いものです。
(『ユマニチュード入門』4ページより)
ユマニチュードは精神論ではありません。ユマニチュードは、自分も他者も「人間という種に属する存在である」という特性を互いに認識し合うための、一連のケアの哲学と技法です。
(『ユマニチュード入門』34ページより)
どちらの文章にも「哲学」という言葉が出てきますね。
私が先ほど申し上げた「ものすごくボンヤリした概念」というのが、ユマニチュードでいうところの「哲学」なのだと思います。
以上
イラストが豊富で介護初心者にも分かりやすい!『ユマニチュード入門』
のご紹介でした!
記事執筆時現在、日本国内で受けられる正規のユマニチュード研修というのは看護・介護などの専門職の方を対象にしており、またその開催日時や場所も限られています。
なので要介護者の家族としては、ユマニチュードを学ぶには日本語で書かれた本を読んでみるのが一番手軽かつ確実な方法と言えるでしょう。
高齢の家族への接し方に悩んでいる方は、ぜひ本書を手にとってみてください。
必ず、何かのヒントが見つかると思います!
色ンナ立場ノ人ノ「ユマニチュードの体験談」的ナ本、モット出版サレテホシイ・・・!